情熱大陸の演出上の不満

昨日は久しぶりにテレビを見ました。

 

現在売出し中の科学者を特集したものでしたが、一体誰に向けて放送しているのか分からない内容でした。

その売出し中の科学者に付属する要素が、非常に多岐にわたっており、情報が散漫としてしまうのは致し方ありません。しかし、それは、取材をすると決めた時点でわかっていることであり、放送後の言い訳にはならないでしょう。

 

アーカイブも含めて、3回ほど見ましたが取材者が、その科学者の本を読んでおらず、勉強不足な様子が手に取るようにわかります。ただの雑談レベルの――週刊誌が取り上げそうな他愛もない話ばかり聞くだけで、その科学者が情熱を持って取り組んでいることに対して、一切質問できていないのです。

 

網膜投影についてもっと踏み込んで聞くべきではないのか?

科学者の創業した会社の弁護士が、映像を全部チェックして、特許を取っているという話をツイッターで見ましたが、つまり、科学者はほとんど全部見せているわけです。それについて、もっと詳細を深掘りスべきではないのでしょうか。

 

親や生い立ちについては30秒程度触れるだけで良いはずです。むしろ、親がどうとかは触れる必要はないでしょう。その科学者の研究に何の関係があるのでしょうか? ないですよね(笑)。

 

一般的なお客さん(その科学者について知らない人)に向けて、標準化した番組を作ったとスタッフは弁明するかもしれません。しかし、それは、科学者がやっていることを理解できずに、表層的にしかまとめ上げられなかったことへの言い訳でしかありません。

 

学会への〆切り間際のシーンで「主食が届いた」というナレーション。非常にくだらないですね。そんなことはどうでも良いのです。カレーをすすっているシーンを映すくらいなら(1回位は放送しても良いですが、何度も放送する必要はない)、研究に打ち込んでいる様子を放送すべきです。

 

科学者の研究している分野は、しっかりと切り取って、正しく放送すれば、難解故に内容を理解できなくても、一般的な人を引きつける魅力があります。

 

3ヶ月も取材して、それを理解できずに、一般大衆向けのバラエティ以下の番組にしたことは、非常にもったいないでしょう。(いやはや、まったく、アポを取るのが難しい科学者と、3ヶ月間一緒にいたという最大の利点を活かせなかった……。残念でしかないですね(笑))

 

グミが主食だということは、ネットで見ればわかることです。

あの番組でやるべきことは、魅力的な研究を噛み砕いて視聴者に向けて放送し、ググるための関心を呼び起こすことだったのではないでしょうか?

 

これまでの情熱大陸という番組のセオリーがあるのかもしれませんが、もし、これまでも昨日のような視点で演出していたのなら、見る価値はありません。

全くもって、不満足でした。