最高のインフルエンサー|両津勘吉

こち亀を読み返してみると改めて、両津勘吉は最高のインフルエンサーだったことを確信する。彼がジャンプ紙面から消えてしまったことは、ドラえもんクレヨンしんちゃんアンパンマンなどが消えてしまうことと同じことかもしれない。小学生の好奇心をそそるのに、こち亀ほど適した漫画はないだろう。

 

小学生の頃、こち亀を読んで電子手帳やパソコンが欲しくなった人は少なくない。またおもちゃやラジコン、盆栽、競馬、サーフィン、古美術、書道、フィギュアなどなど、こち亀で取り上げられた情報から、更に詳しく知りたいと思い、深く調べた人も少なくないだろう。もしかしたら、こち亀の影響で鉄オタになった人がいるかもしれない。

 

後半は妄想ではあるが、上記のように、こち亀両津勘吉に影響された人は多いだろう。

 

現代で言う、(小学生や男子・男性に対しての)インフルエンサーの役割を両津勘吉がになっていたのである。いや、言い換えると、こち亀と言うものは、一種のキュレーションサイト(漫画)だったのかもしれない。これを見れば、最新の商品について情報を得ることができるし、時代の流れを感じることができる。


特に、80年~90年台の田舎で育った子供にとっては、こち亀が取り上げる情報は、垂涎モノだったのではないだろうか。インターネットもなく、本屋が近くにあるわけでもない。テレビやラジオからしか情報を得ることは出来ないが、テレビから放送されるものは、所詮広告であって、全体を網羅することは出来ないし、最新の商品の紹介がなされることもない。こち亀をウォッチすることが、トレンドを追うことに非常に役に立った時代だったのだ(断言するにはエビデンスが薄い)。

 

今の子供達はスマホで、キュレーションメディアに簡単にアクセスできる。その為、両津勘吉の存在価値が徐々に薄れていったのは否めない。しかし、キュレーションメディアには考えつきもしない発想で、その商品を利用し金儲けをする姿は、こち亀「|両津勘吉独自のものである。この価値は非常に高い。あらゆる商品を「金儲けにつなげる」発想は、卓越している。

 

子供を育てていて思うのは、子供が両津勘吉とリアルタイムで出会えない寂しさである。ハーレム系の漫画やラノベを否定するわけではないが、現在の漫画やラノベにはないものを両津勘吉は持っていたのではないだろうか。


泥臭く貪欲に、発想したネタを「金儲けに繋げる」執念は、子供に学んで欲しいポイントでもある。